Yさんはいま、manaby WORKSのコワーキングスペースで学びながら就職活動を行っています。利用し始めたころはまだ会社に所属していたので、「仕事の後も休みの日も、家で学ぶことができるから」という理由で、入会を決めたのでした。
Yさんは、大学では情報処理を学び、卒業後は様々な仕事を経験してきました。実家の豆腐店での配達や製造から、店舗での接客、倉庫勤務。
「次は正社員になりたい、と就職したのが法人営業の仕事でした」
法人営業の仕事は、とても高度なコミュニケーションを求められます。営業としてうまく話せない、話を広げられない、とYさんは悩みました。上司や同僚とは歳も離れていて、気軽に悩みを打ち明けられる仲間がいませんでした。Yさんは次第に体調を崩してしまいます。
そして通院したときに、ADHD傾向があると医師に告げられました。
「受け入れたくなかった」というのがYさんの正直な気持ちです。
それから何とか前を向き、長く働き続けたいと、上司に相談をしました。体調のことや現在の状況を知って欲しいと、正直に伝えて話し合いましたが、「気持ちの問題」「やる気が感じられない」と残念ながら理解してもらえませんでした。
それから止む無く退職したYさん。日中時間ができたので、積極的にmanabyのコワーキングスペースを活用することにしました。
「会社を辞めてから誰とも話すことのない生活をしていましたが、生活リズムを保つためにもコワーキングスペースに来て、コミュニケーションをとるようにしています」
不定期に開催される座談会や勉強会も、コミュニケーションの練習にはちょうどいいようです。「前よりも人と話すのがおっくうじゃなくなった」とYさんは続けます。
manaby WORKSでは、HTMLやCSSを学んでいます。大学生のころから興味があり、やりたかったプログラミングを仕事にできるように、就職を目指して頑張っています。
新型コロナウイルス感染症の流行により就職活動もままならない時期ですが、腰を据えて学ぶ機会になっているようです。
どんな働き方がしたいのか、じっくり向き合い見えてきたことのひとつは、自分の力を発揮するために「自宅で働きたい」ということ。キャリアカウンセラーと相談しながら、Yさんは準備を進めています。
少し前の自分に、また同じような境遇の方に、Yさんはこんな言葉をかけたいと思っています。
「一人で悩みすぎなくていい。我慢しすぎなくていいよ、辞めていい。辞めたら眠れるようになったし、まずは体が資本」
勇気を出して相談しても、受け入れてもらえないかもしれない。それでも誰かに話すことが、新しいスタートにもなる。そんなことを、実体験から教えてくれました。
Yさんは新たな道を歩み始めています。
(2020年6月取材)