うつでSEを辞めた会社員、YouTuberとして生きる

テレワーカーでありYouTuberとしても活動する仙台在住のTさんは、manaby WORKSのコワーキングスペースに通っています。

 

「就活に失敗」して院卒SEへ

Tさんは、子供のころから勉強面も友人関係も問題なく一人でゲームを楽しむことが多かったそう。フランス哲学を学ぶために、生まれ育った仙台を離れ京都の大学に入学しました。

 

初めてつまずきを感じたのは、就職活動のときでした。地元の公務員を目指しましたが、面接がうまくいかず2年連続で不合格。人の役に立ちたいと思いながらも、プライベートが軽視される風潮には違和感があり、就活を続けるうちに「仕事」の印象がネガティブなものになっていきました。

 

そんな中たまたま内定をもらったのが、SEの仕事です。就職してから3か月間の研修を受けプログラミングを勉強し、決められた時間に出社して、動作テストなどの業務を担いながら1日8時間働きました。

 

「ごく一般的な働き方ですが、やってみたら自分にとってはとても辛いものでした」
上司とのコミュニケーションがうまくいかず、勤務中に見られている感覚が苦痛。ストレスを感じつつ毎日を何とか堪えて半年がたったころ、体調に異変を感じたTさん。うつと診断されました。退職をして仙台に戻り、2年ほど自宅で療養をします。

 

障害者雇用で見つけた自分らしい時間

働いてみて初めて、自分はコミュニケーションが得意でなかったことに気づいた、とTさんは振り返ります。うつと向き合いながら、自分に合う働き方を改めて考えてみました。

 

まずは体調を整えながら無理なく続けられる仕事で、できれば人の目を気にせずに集中できる環境が望ましい……そしてたどり着いたのが「在宅ワーク」という働き方でした。

 

Tさんは就労移行支援サービスでの訓練を経て、現在も続ける在宅ワークの仕事に就きました。障害者雇用の事務職正社員として、自宅で調査して資料をまとめるという業務。その日のタスクが終わり次第、残りの時間を好きなことに充てることができます。Tさんの生活は、集中して早めに作業を終わらせて、残りはやりたいことをする、というスタイルにシフトしていきました。

 

好きなこと、やりたいことは何か

仕事を終えてからの時間は、好きなゲームをして過ごすほかに、スキルアップのために使いました。そして見つけたのがmanaby WORKSのeラーニングでした。

 

「プログラミングをもう一度学びたいと思ったのですが、プログラミングスクールは入学金や利用料が高くて。それと比べるとmanaby WORKSは安価で始めやすかった。コワーキングスペースとキャリアカウンセリングがついているサービスは珍しい」

 

Tさんはコワーキングスペースに通いながら、月2回の面談でスタッフにあれこれ相談をしました。そのうち動画制作に興味を持つようになり、動画編集の勉強をして、ゲームに関するYouTubeチャンネルを立ち上げてみることに。しかしなかなかうまくいかず、落ち込むこともありました。

 

失敗に対しての耐性がなかったと言うTさんですが、よく寝る、散歩をする、日光を浴びるという自分なりのセルフケアをしながら、無理せずに少し距離を置く期間を設けつつ問題と向き合いました。

 

SNSで情報を集め、チャンネル運営のコツを紹介する動画を見ては、あれこれ試してみます。残念ながら最初のチャンネルは閉鎖することになりましたが、新たなチャンネルをコツコツと運営し、半年がたったころようやく軌道に乗り始めたのです。

 

1桁だったチャンネル登録者が徐々に増え始め、少しずつ収益が得られるようになっていきました。失敗は成功のもとですね、とTさんは笑います。

 

心地よい居場所を見つけること

コワーキングスペースは、カフェよりもゆったりと落ち着いて作業ができるそう。manaby WORKSで開催される座談会イベントにも時折参加しています。仕事のやりとりはオンライン中心なので、同じ境遇の方々と会話をするのはいい息抜きになります。コミュニケーションは苦手でも、機会は必要だと感じているそうです。

 

Tさんは在宅ワークとYouTuberとしての活動を両立しながら、これからの働き方についてこう考えるようになりました。
「やっぱり好きなことをして暮らしていきたい。続けていたら、少しずつ道筋が見えてきた。コロナ禍、世の中は特に不透明な情勢だけど、そのときどきで柔軟にやっていこう」

 

そして、やりたいことがある人は頑張って踏み出してみてほしい、と続けます。
「継続は大変だし勇気も必要だけど、やっているうちに経験値はあがる。満足度もあがる」

 

失敗しては落ち込み、自分のペースで実践を繰り返してきたTさんは、じっくり思い描いてきた理想の未来に向かって進み続けています。

(2021年6月取材)

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