manaby(マナビー)が創業まもない頃から大事にしているダイアローグ。その学びをシェアするオンラインイベント、第4回となるmanaby TALK!が先日開催されました。
事業所は離れているけどクルー(利用者)※さんへの想いはみな同じ。そんな仲間と集い、学びの輪が広がり、いつもと違うチームやものの見方に触れて新しい発見をしようというテーマで開催された今回のmanaby TALK!。
※マナビーでは利用者のことをクルー、crewと呼んでいます。一緒に社会を変える仲間、という思いが込められています
全国のスタッフが距離や事業所の枠を越えてオンラインでチームをつくり、就労支援現場の事例を用いてダイアローグと議論をするという形で行われました。
約40チームが、事例のクルーさんにどう寄り添うのかを考える中で、自分とは違う視点の違いや考えを聞き、ダイアローグと議論との違いを体感し、気づきをシェア。
今回は経営陣チームも支援検討に初挑戦。新たな発見があった、定期的にやりたい、と興奮した様子でした。
その支援現場の事例を提供してくれた事業所のひとつがmanaby 横浜長者町事業所です。
クルーの一人、つぐみさん(仮称)は、神経疾患によって幼いころから日常生活の一部に支障がありました。努力と我慢でこれまで乗り切り、就職してからも何とか頑張ってきましたが、ある時ついに心と体の調子を崩してしまいます。退職してしばらく自宅で療養したのち、主治医の勧めでmanabyに通所するようになりました。
「どうしたらつぐみさんが再就職に向けて前向きに進めるか、不安がなくなるか、スタッフ間でもたくさん話し合いました」
支援員の渡辺さんは、つぐみさんの不安に寄り添いながら、不安への向き合い方を一緒に考えたと言います。
症状がつらいときにはまずはそのつらい気持ちを受け止め、具体的な対処法を考えて伝えました。漠然とした不安が大きくなっているときには、客観的な意見を伝えながら「大丈夫、大丈夫」と声を掛けました。
実はつぐみさん、最初からなんでも話してくれたわけではありません。面談の場でも雑談の中でも、スタッフには弱音を言わずに頑張っていました。支援員から話題を振ると、ようやく不安な気持ちを打ち明けてくれたつぐみさん。いつでもどんなことでも遠慮せずに話してほしいと何度も声をかけるうちに、少しずつ変わっていったそうです。
ダイアローグは、スタッフ間のコミュニケーションに自然と根付いていました。
「いまからダイアローグをしよう、という感じではなくて、日々のブリーフィング(情報共有の会議)の中で自然と対話的なやりとりが始まりますね」(事業所マネージャーの亀尾さん)
2019年11月に開所した横浜長者町事業所は、これまで何度かスタッフの異動があり、常にチームづくりに力を入れてきました。
「クルーさんにはそれぞれ担当支援員が付きますが、支援はチームでやっています。だからこそ、スタッフ間での情報共有はもちろん、たくさんコミュニケーションをとるようにしてきました。それがダイアローグ的だったのかもしれません」(亀尾さん)
クルーさんにとっていま何が必要か。次はこんな提案をしてみよう。新人もベテランもそれぞれが意見を持ち寄り遠慮することなく伝え、考えの違いは否定するのではなく、受け止める。そしていろいろな角度から眺めて、さらに考える。そんなやりとりが、自然と生まれ日常的に行われるようになっていたそうです。
「もともとコミュニケーションが苦手とおっしゃっていた方が、自分からゲームや会話に参加するようになっていくこともありますね」(渡辺さん)
実際にクルーさんからも、事業所の雰囲気がよい、交流が楽しかったという声も聞かれます。期初に目標として「いろいろなコミュニケーションを発生させる事業所に!」を掲げてから、意識的なものと自然発生的なものが混じり合う、心地よい会話のある事業所となりました。
「ダイアローグは、答えがなくていい、答えを出さない会話というのがいいですね」(亀尾さん)
働きたいけど働けないと悩む方、自分らしく働きたいと頑張る方に寄り添う仕事には、効果的なやり方や明確な答えがありません。だからこそ支援員は、クルーさんに言いたいことを言ってもらうことを大事にしていました。
相手のことばをありのまま受け取り、自分のことばにして返してみる。自分が相手を理解するだけでなく、相手に自分を理解してもらう。そうしてお互いを信頼し、同じところを目指す仲間となってチームで一緒に考えていく。安心した関係づくりに、ダイアローグは欠かせません。
横浜長者町事業所は、チーム支援を大事にする過程で、自然とダイアローグが生まれる心地よい事業所になっていました。
次回は、もう一つの事例を提供してくれた事業所のダイアローグを見つめてみたいと思います。
マナビーの学びは続きます。
(広報大坪)