パニック障害を乗り越えて─学びで広がる、次の道

2025.09.08

かつてmanabyの就労移行支援を利用し、社会へ踏み出したAさん。6年間の職務経験を経て、次のステップを考えたとき、再び相談先として思い浮かんだのがmanabyでした。学び直しを経て、新たな職場で自分らしく働いています。

はじまりの一歩、在宅という選択

Aさんが最初にmanabyに出会ったのは、仙台駅前事業所が開所したばかりの頃。公認会計士を目指して試験勉強をする中でパニック障害を発症したAさんは、療養を経て就労移行支援を利用することを決めました。

 

電車に乗ることや人混みに出ることがつらく、在宅訓練ができると知って興味を持ったmanabyでしたが、支援員との面談を重ねながら、自分のペースで少しずつ事業所に通い、できることを増やしていきました。

 

eラーニングでは、HTML/CSS、Photoshop、illustratorなどを学び、Aさんは自動車部品を扱う企業に就職。障害者手帳は取得していませんが、自身の障害についてオープンにしながら、在宅での業務に取り組みました。ECサイトの運用や画像加工、バナー制作などを担当し、クリエイティブな仕事を通じて実践的なスキルを磨いていきました。

 

成長し続けるために

Aさんが任された業務は裁量が大きく、専門的なことを自分で勉強しながらの作業でした。自由度も高い一方で難易度も高く、一人で解決しなければならない孤独感に悩む場面もあったと言います。

 

5年が経ち、そろそろ正社員への道を模索したいと考えていたAさんは、もう一度学びながら次のステップを模索しようとmanabyのスタッフに相談します。そしてmanabyのeラーニングの利用を開始しました。

 

「以前よりも一歩踏み込んだコンテンツが増えていましたね」とAさん。Excel、プログラミングをもう一度学び直しました。

 

学び直し、自分を再確認

働きながら、eラーニングだけでなく宅地建物取引士(宅建)の資格にも挑戦。勉強時間の確保は大変でしたが、Aさんは学び続けました。

 

「パニック障害を発症したのが、資格試験を受けていたとき。いまは症状はありませんが、また同じような状況で発作が出ないか、自分を試す意味で挑戦してみました」

 

90分の試験を受けてみると集中はできていたものの、手のしびれに気づいたといいます。

 

「昔は根を詰めて頑張るタイプでしたが、今は体調やペースを大事にして積み上げていく方が合っている」

 

自分を試し、見つめ直す中で、無理のない学習スタイルが定着していきました。

 

その後、前職を辞めて転職活動を開始。ハローワークで求人を探しながら、manabyの有料職業紹介サービスも利用し、いくつかの面接を経て現在の会社と出会いました。

 

業務委託からスタートし、現在は正社員として採用。社長をはじめ社員にも、かつてのパニック障害についてはオープンに伝えています。入社して1か月ほどですが、すでにWebサイトの修正、SNS運用、広報、経理業務など、幅広い業務を任されています。宅建の資格も、業務の中で役立っています。

 

自分にできることを積み上げる

現在は在宅勤務を中心に、月2回ほど出社しています。社長や会社が目指すことを、一緒に形にしていきたいと日々の業務に向き合っています。

 

副業も推奨される職場環境の中、いずれは外部の仕事にも挑戦し、その経験やスキルを現職にも還元していきたいと考えています。

 

「自分にできることを一つでも増やしていきたい」と思う一方で、一人でできることには限りがあることも実感。だからこそチームで動くことで、仕事はもっと広がっていく─そんな手応えを今まさに得ているところです。

 

「なんでもいいので、新しいことを、自分ができる範囲で、1日ひとつでもやってみたらいいと思います」

 

悩んでいるときは、自分の苦しさだけに目を向けていると、前が見えてこない。Aさんはそう振り返ります。かつて十分に悩んだからこその言葉です。

 

「10年後に振り返ったとき、大したことなかったと思えるかもしれない。いまのあるがままを受け入れつつ、次の一歩を踏み出せば、きっといい未来につながっていく」

 

しんどくて動けないときは、まずはスマホで問い合わせを送ってみるだけでもいい─自分ひとりじゃない、居場所はきっと見つかる。Aさんはそう力強く語ってくれました。

(2025年8月取材)

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