社会となるべく関わらないように生きていくと覚悟した女性の1年後

Oさんは、退職してから長年精神的な不調に悩みながら過ごしていました。働きたいけど働けない。誰に相談したらいいのかわからない。そんなときに、就労移行支援manabyのチラシが自宅ポストに入っていたのを見つけました。

 

就労移行支援か就労継続支援か

デザイン関係の仕事をしたことがあったOさんは、eラーニングでillustratorを学べる点に興味を持ち、事業所に連絡をしてみました。見学をして実際に訓練を体験し、前向きに利用を考え始めていました。しかしその矢先に眼の手術が決まり、手術と療養のために利用検討を一時中断せざるを得ませんでした。

 

手術後は眼の状態が思わしくなく、「就労移行支援で就労を目指すのは、いまは難しいかもしれない」と感じたOさん。他の福祉サービスをいろいろと検討する中で、就労継続支援B型というサービスがあることを知りました。事業所をいくつか見学してみたものの、自分に合う事業所がなかなか見つかりません。「前に見学をしたmanabyに、B型事業所はないかな?」とHPを見てみたところ、少し前にmanaby CREATORSが開所したことを知ります。すぐにその場で電話して、そのまま見学に行くことに。

 

「事業所はオフィスのような雰囲気で、清潔感や他の利用者との物理的な距離感もほどよかった。アクセスもよく通いやすい。当日連絡だったにもかかわらず、見学を受け入れてくれたことに感謝しています」とOさんは振り返ります。

 

manaby CREATORSで学んだこと

事業所では主な生産活動としてWebメディア「novalue」の記事制作をします。一人ひとりに合わせて活動を行うことを大切にしており、記事制作は必須ではありません。Oさんはデザイン制作、Wordなどの学習を中心に進めました。
他の利用者のように記事制作をしていなかったため、「自分は貢献できていない。ここにいてもいいのかな」と感じていたそうです。

 

そんな中、仕事としてチラシ制作や資料作成の手伝いをすることになりました。他にも別の利用者が作成したロゴデザインを印刷入稿データに編集する作業を行ったり、manabyグループ合同で行った展覧会のパンフレット制作を任されたりしました。
デザインに関わる作業に携わっていると心が落ち着くことに気がつき、徐々に社会や人との繋がりを感じられるようにもなっていきました。

 

B型事業所を卒業、就労移行支援へ

もともとコミュニケーションに苦手意識を持っていたOさんですが、特に展覧会への関わりを通して、少しずつ苦手意識を克服していきました。支援員からみても顕著に変わっていったと言います。

 

「展覧会のパンフレット制作は、スケジュールを管理しながら情報確認も的確に行っていました。人との関わりを持ちながら、生き生きと活動されるようになりました」と担当支援員。
こうして出席率や通所日数も増やしていき、就労移行支援に進めるまでになっていきました。

そしてOさんはいま、manabyの就労移行支援に通っています。体調や精神状態のチェックをしっかり行い、時間をこれまでよりも強く意識して行動するようになったそうです。
事業所のレクリエーションに参加しながら、さらに学びを深めています。

 

 

自分で感じる大きな変化

「はじめは、緊張ばかりしていた。しばらくして、スタッフと雑談ができるようになった。展覧会のメンバーとのやりとりで自分の想いを発信できるようになり、いつしか自然と交流できるようになった。人と話したい、と思えるようになったのが、一番大きな変化です」

Oさんはそれまで「社会となるべく関わらないようにして、生きていくしかない」と思っていたそう。利用から半年、さらに1年後と、時を経て「もう少し、社会と関わって生きていってもいいのかな」と思えるようになったと言います。

 

就労に向けて訓練に励むOさんは、デザインに関わる仕事にこれからも関わりたいと、自分に合う働き方を模索中。周囲を見渡すと時に不安に思うこともあるそうですが、そんなときは支援員に相談をしながら、自分のペースで未来に向かって歩んでいます。

 

(2020年6月取材)