manabyを卒業してアーティスト・フリーライターとして活躍され、先日は超福祉展のシンポジウムにも登壇いただきました、林谷 隆志さんによる体験談です。どうぞご覧ください。
はじめまして。manaby 横浜関内駅前事業所 の卒業生、林谷 隆志(はやしたに たかし)と言います。僕は発達障害のひとつASD(自閉症スペクトラム)と、繊細な気質を持つHSPを持っていて、これまでに様々な生きづらさと向き合ってきました。事業所で1年間(本当にぴったり1年間)お世話になり、その後障害を持つ方の支援サイトにて、ライターとして当事者の方に沢山の記事を書く仕事に就職しました。
残念ながら現在はこの会社を退職していますが、今は自身の特性(障害や気質など)に関するブログを書くことと、パラリンアーティストとしても活動しつつ、自身のアート作品を配信で販売するオンラインショップを運営しています(詳細は記事の最後に紹介します)。
今年(2020年)の9月3日に、渋谷ヒカリエで開催された『2020年、渋谷。超福祉の日常を体験しよう展』の開催シンポジウム
「障害者、ニート、心理学者と探究する、「社会的少数」の面白さ。」
のライブ配信動画にて、manaby卒業生代表として出演させていただきました。
もしかしたら、『何だ、あの緑の頭は?』という感じで覚えてくださっている方もいるかもしれません。
出演当日はものすごく緊張しましたが、司会進行の若新さんが話しやすい環境づくりをしていただいたおかげで、自分の中で『これはお伝えしたい』ということを話すことができましたし、同時に様々な見解や対策を知ることができて、とても勉強になりました。
『まだ動画を見てない…』という方はぜひこちらからアーカイブ動画をご覧になっていただけますと幸いです。
参考:障害者、ニート、心理学者と探究する、「社会的少数」の面白さ。 | シンポジウム | 2020年、渋谷。超福祉の日常を体験しよう展
参考:若新ワールド
さて、今回は
・僕が数ある就労支援事業所の中から、なぜmanabyに通うことを決めたのかについて
・manabyではどんなことを学んだのか、今に活きていることはあるか
この2つについてお話ししたいと思います。今manabyに通っている方、または就労移行支援の事業所選びに迷っていて、偶然この記事に辿り着いた方に少しでも前を向けるきっかけになりましたら幸いです。
まず就労移行支援の存在を知ったのは、かかりつけの精神科に当時常駐していたカウンセラーの方から伺いました。僕が『今の仕事を辞めたい』と相談した際に、いくつかの事業所のチラシをくださって案内してくださったものです。
それまでは地域の就労支援センターしかない、と思っていました。ですからさらにスキルを磨くことができる環境があることを知り、「頑張ってみようかな」と感じたのを覚えています。
事業所探しでいろんなところを見てきている方、調べている方は頷いてくださる方が多いと思いますが、就労移行支援事業所って、同じ名前でも本当にいろんなスタイルの事業所があります。
当時はまだ「就労移行支援」というサービスが出始めた頃でしたけど、それでもいろんな種類の事業所があるなと感じたほどです(今はもっと多種多様な事業所があると思います)。
僕はいただいたチラシの事業所を全て調べ、そのうち数件は実際に事業所にお邪魔して雰囲気を確認したところもありました。
コミュニケーションやマナーを身につける「グループワーク」のタイプなどもありましたが、僕は在宅勤務を希望していたため、ちょっと(このタイプは)違うなと考えていたのです。
そうして辿り着いたのが「manaby」でした。動画に沿って自分のペースでトレーニングを進めることができ、さらには在宅勤務に関する知識を得られると判断し、manabyを利用させていただくことに決めたのです。
まず、学んだ項目として簡単に下記にまとめてみました。学習が完了するまでどれくらいかかったかも、参考として記載しておきます。
【林谷が通所中に学んだ項目】
・illustrator(イラストレーター) 2カ月程度
・Photoshop(フォトショップ) 5カ月程度
・HTML/CSS 2カ月程度
メインとして学んだのはこの3つです。その他僕はデザイン関係の仕事を希望していたので、スタッフの方にわがままを言って「色彩検定」の勉強をさせてもらったり、タイピングのトレーニングをして資格を取得したりなど様々なトレーニングをさせていただきました。
これは超福祉展の動画でもお話ししたことですが、僕はmanabyに通った前半の半年間は、毎月スタッフの方に提出する用紙の「自分の強み」欄を空欄で出していました。
これはなぜかというと、過去の職場で自分の強みとして活かそうとしたスキルによって周りが迷惑がったり、不満を持たれたりすることがあったためです。そうした経験からいつの日か『自分が頑張れば、周りが不幸になる。そんなものは強みではない』と意識していたために「自分の持つ強みはない」と感じていたためです。
ただ、スタッフの方と長い時間をかけてコミュニケーションを取っていくうちに、そうして封印していた「強み」を信じてあげてもいいのかな、と思えるようになっていったのです。そういった客観的な見解を学べたことは、manabyで得た一番の財産かもしれません。
ちなみに僕の強みは「細やかさ」と「発想力」です。以後面接では、そう断言するようになっています。
いかがでしたでしょうか。
僕自身もそうでしたが、障害や様々な難病を持っていると、どうしても自分に自信を持てなくなる環境や経験に直面しやすいのではないでしょうか。
・周りの人からバカにされた
・他の人ができることを、自分だけできなかった
・仕事や勉強でうまくいかなかった
などなど、どうしても自己評価を下げてしまいがちです。一人で就職活動していると、どうしてもこの自己評価だけで勝負することになりますから、履歴書や面接でどう言ったらいいかもわかりませんよね。僕もそうでした。
そんな自己評価の違う一面をmanabyの皆様がプラスしてくれました。この記事が就職に悩む方の背中を押すきっかけのひとつになりますように。
筆者紹介
林谷 隆志(はやしたに たかし)
1980生まれ。20歳から就職、警察官、運送会社の事務、障害を持つ方の支援サイトでのライターを経て今に至る。警察官時代、30歳の時にうつ病を発症したことがきっかけで発達障害の診断を受ける。以降自己研究の中で、HSP気質が強いことに気づくようになる。
【発達障害・HSP当事者ブログ】
GreenHeadの解放区
主に発達障害、HSP、ライティングの3つのジャンルをメインに記事を公開
【オンラインアートショップ】
Rainbow Cross Section 虹の断面図
自身のアート作品をダウンロードで購入できるオンラインショップを運営