きっかけはすぐそこに

Mさんは双極性感情障害を持ちながら、これまで障害を明かさずに、いくつかの職場で働いてきました。事務、コールセンター、販売員など職種も様々です。障害によって困ったことがあっても、周囲に伝えることができずとても辛い思いをしました。

股関節手術を受けたこともあり障害に理解のある職場で働きたいと考えていたころ、駅でmanabyの看板を見かけました。

「在宅で学べる」という言葉が気になり、HPを調べました。就労移行支援は65歳未満までの働きたい障害者が対象だと知り、学ぶのに年齢は関係ないのかと、思ったそうです。早速見学をしたmanabyの事業所は、利用者が和気あいあいと学んでいて、活発な雰囲気を感じたと言います。

 

学び始めて2か月、感じる変化

Mさんはいま、もともと学びたいと思っていたHTML/CSSなどのWeb制作系コンテンツやExcelを学んでいます。週に4日自宅で学び、週1日事業所に通って支援員との面談を行っています。

学び始めてから「動画を見ながらノートを取るようになったので、漢字を思い出してきた」と笑うMさん。それだけでなく、いくつもの変化を感じていると話してくれました。

一つは、これまで夜型になることがあった生活が、就寝リズムが安定してメリハリがついてきたこと。二つ目は季節の変わり目にも体調を崩さなくなったこと。そして考え方が前向きになったこと。いずれも「在宅で働きたい」という目標が具体的に明確になったからだと、Mさんは考えます。

 

自宅にいても、一人じゃない

在宅での訓練は、準備をしたらすぐに始められるところがいいところです。手術をした股関節が痛いときは、横になって体を休めることもできます。満員電車や満員バスも得意ではなかったので、通勤がないのもメリットです。

工夫をしているのは、定期的に目を休め、ストレッチをすること。manabyのeラーニングはチャプターが短く区切られているので、休憩を取りやすいそうです。

「自宅に一人でいると、悩み始めて止まらないことがあります。そんなときは、スタッフに声を掛けて、聞いてもらうようにしています」

例えば将来への不安が大きくなってしまったとき、他人と比べて自分のペースがどうか悩んだときなどには、支援員にすぐ相談をして不安を減らし、訓練に集中できるように心がけているとのこと。訓練中はオンラインでつながっているので、いつでも相談できるのも安心です。

 

言葉を心の引き出しに貯めておく

「明けない夜はない、朝日は昇る」という言葉を以前どこかで見かけてから、「大きな悩みでも夜空に比べたら小さい。気負わずに、ちょっとしたことに幸せを感じることを大切にしている」とMさん。目覚ましより早く起きられたなど、どんなことでもいいそうです。調子が悪いときにはあまり響かないかもしれないけど、ちょっとでも引っかかった言葉は心の引き出しに入れておく。そうすると、いつかふと思い出したその言葉がきっかけになって、行動できることがある。そう教えてくれたMさんは、今日もメモを取りながら、目標に向かって自分のペースで学んでいます。

 

(2020年4月取材)