居宅介護を受けながらテレワークで働くプログラマー

Sさんは、自宅で居宅介護を受けながら、企業に就職して週5日働いています。フレックスタイム制の1日6時間勤務で、休憩時間に訪問看護や訪問入浴を受けながら仕事に取り組んでいます。

「一日中自宅にいることになるのでオンオフを意識して、オフの時は心と体をしっかり休めるようにしています」

 

社内やグループ会社の業務の管理システムや支援ツールを開発するチームに所属し、担当するのはプログラムの作成。得意なことを活かして働くことができる職場です。

 

筋ジストロフィー患者の就職に立ちはだかる高い壁

高校時代から漠然とコンピュータ関係の仕事に就きたいと考えていたSさん。積極的にエクセルやHTML、プログラミングについての授業や講義を選択して学んできました。

 

一方で、筋ジストロフィーのSさんがいまの社会で就職するということには、様々な壁があるということを知りました。一番大きな壁は、勤務中も介助を受けられる職場や環境が非常に少なく、仮に見つかっても職場までの移動手段の確保が困難なこと。Sさんは大学院に進み、その壁を取り払う手段について研究しました。そして「テレワークやフリーランス」という働き方が有効であるという考えにたどり着きます。

 

卒業後、相談支援の担当者に働くことへの思いを伝えたところ、紹介されたのが就労移行支援manabyでした。

 

障害福祉サービスである就労移行支援は、在宅利用が認められた場合でも自治体によっては事業所に定期的に通うことが条件になることがあります。当時、Sさんの自宅近くに受け入れ可能で通える事業所がなく、オンラインで利用できる「manaby WORKS」のサービスを検討することに。

 

仙台本社勤務のサービス担当者でありキャリアカウンセラーの星は、ちょうど出張で近くまで行く予定があったため、Sさんを訪問することにしました。

 

「星さんの説明を聞き、manabyならば自宅で働くために必要なことを学べると思い、その場で入会を決めました」とSさん。
Sさんの、就職に向けた本格的な準備が始まりました。

 

キャリアカウンセラーとの二人三脚

まず初めにビジネスマナーについて学び、HTML、CSS、JavaScriptなどのプログラミングに関する内容を中心に勉強を進めました。それから、気持ちと行動を整理するスキルを学ぶためのセルフコーチング、またライティングや機械学習についてのコンテンツも受講しました。コミュニティサイトの使い方も学び、プログラミングに関してわからないことがあればそこで質問をしました。

 

「プログラミングにおいて重要なのは、コードを覚える事よりも、分からない点を調べる能力であるということを理解しました」と、Sさんは言います。

 

担当の星は、Sさんがスキルを身に着けながら、自分の思い描く働き方を実現するまでの姿を頼もしく思っていたそうです。

 

「積極的にチャレンジしていて、目標に向かって一生懸命でしたね。定期的なオンライン面談では、サポートしてくださるお母さまと一緒に、3人でたくさん笑いながらお話しました」

 

manaby WORKSの利用を始めてから約10か月後、企業での実習を経て特例子会社への就職が決まりました。

 

模索して準備して見つけた、自分らしい働き方

テレワークでの仕事は、特に意思疎通に気を使い、基本的な挨拶と報連相を積極的に行うようにSさんは心がけています。またプログラムをする中でわからないことは自分で検索し、それでも解決しない場合はコミュニティサイトや職場の方、クライアントに質問するようにしているそうです。職場の先輩の誘いで興味を持った定期的な社外勉強会に参加し、全社的な業務改善プロジェクトにも自ら手を挙げ加わりました。いずれは有意義な提案を出来るようになりたいと、意気込んでいます。

 

理想の仕事に就いたSさんはいま、社会との強いつながりを感じ、生きがいを持って生活を送ることができている、と感じているそう。

「働きたいという気持ちとmanabyや周囲の人の協力があれば、自分なりの働き方が見つかると思う。焦ることなく一歩ずつ進んでみてください」そう、メッセージをくれました。
働くまでの過程を支えてくれたすべて方への感謝を忘れずに仕事をしていきたいと、チャレンジを続けています。

 

 

(2020年8月取材)

 

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