続けることで広がった世界-自分を活かすルーティン

GUSSANは、就労継続支援B型 manaby CREATORSに通い始めて約1年。ほとんど休むことなく訓練を続けています。統合失調症と診断されたのは大人になってからでしたが、不調を感じ始めたのは10代の頃。ずっと一人で抱えてきました。

 

原因不明の不調を抱えて

仲間とのコミュニケーションが大好きな、ごく普通の小学生だったというGUSSAN。中学生になると部活動のサッカーに励む一方で、人前や人込みが苦手だな、なんだかおかしいなと感じ始めるようになりました。通学の電車や全校集会の体育館にいる時間も、いつしか苦痛になっていることに気付きます。座り続けることが苦手になり、不調が徐々に強くなっていきました。

 

「ずっと頭が回らない感じ」
コミュニケーションをとろうと思っても自然に振舞えず、固まってしまうこともありました。当時は病気だという認識はなく、原因もわかりません。なんで調子が悪いんだろう、と思っていましたが病院に行くことはありませんでした。一人耐えるうちに、少しずつその不調にも慣れて、経験で対処できるようになったそう。これまでの人生で一番つらかった時期です。

 

入院して取り戻した自分

高校を卒業したGUSSANは東京の専門学校に進学して、一人暮らしを始めます。好きだった映像制作や音楽を学べることはとても楽しく、環境も変わって、これまでの不調が少し楽になったように感じました。

 

卒業後は「もう少しライブ企画などの経験を積み、成長してから就職を考えたい」と地元宮城の実家に戻ります。友人とライブを企画したり、自身もバンド練習をしたりしながら約2年間が過ぎました。その間、自分では気づかないうちに症状は進行していたようです。

 

あるとき保健所職員が自宅にやってきて、精神科への通院を勧められました。突然の出来事だったこともあり、GUSSANは提案を断ります。それから数か月後に初めて通院し、そのまま入院することに。

 

「その時はどこにいるのかもわからなかった」
診察してから8人くらいに抑えられて拘束室に連れて行かれた記憶が残っています。それから投薬を始め、症状が落ち着いていきました。一般病棟に移り、数か月後に退院。入院後の写真を見ると、療養前に比べてとても元気そうだったとGUSSANは言います。

 

退院後は自宅近くでアルバイトを始め、それから設備関係や工場、コールセンターなど、様々な仕事を経験しました。

 

地元の友人たちもチームをつくってサポートしてくれました。キャンプを企画するなど、何かと誘い出してくれたそうです。アルバイトを始めたのも、友人が背中を押してくれたことがきっかけでした。仕事には就いていたほうがよい。それでも無理はしないように。そんな風に仲間からの応援を受けながら、GUSSANは歩み続けました。

 

新たな一歩

それからGUSSANはデイケアに通い始めました。最初に参加したのは運動プログラム。元々サッカーをやっていたGUSSANは体力に自信があると思っていましたが、このとき体験したバレーボールは1時間でギブアップ。一緒に参加していた年配女性たちが元気に2時間続けていた姿が目に焼き付いています。

 

朝30分間のジョギングも始めました。帰宅後にもさらに走るようになり、毎日のルーティンに筋トレが追加されました。

 

デイケアでは、子供のころに好きだった絵を再び描き始めました。初めの頃は早朝から描きだしてしまうほど熱中してしまい、職員に注意されたほど。やり過ぎないように、少しずつリズムをつかんでいきました。

 

そうして朝晩のトレーニングも習慣になり、約4年ほどデイケアに通います。ある時仲間が「GUSSANが好きな絵を仕事にできて、それが工賃になるところがあるよ」と紹介してくれたのが、就労継続支援B型 manaby CREATORSでした。

 

これまでB型事業所というと「お年寄りの集会所のようなイメージ」というGUSSANですが、実際体験に行ってみるとそのギャップに驚いたそうです。

 

「事業所は駅前にあり、オフィスワークをするような綺麗な環境でした。利用者の方が真剣に集中して作業をしていたのが印象的でした」

 

続けることで見えたこと

manaby CREATORSに通い始めてから約1年、GUSSANはいま、週に5日通所しています。朝起きたら走って筋トレを行い、車で事業所に向かいます。事業所では絵を描くことを中心に過ごしています。

これまで主にアクリル絵の具で描いてきましたが、最近はそのアナログ作品にデジタルで文字を載せたり加工することが面白くて、いろいろと試しているそうです。manabyのeラーニングでillustratorを学んだことで、表現の幅が広がりました。

 

「事業所にいる間毎日4時間、ずっと絵のことを考えていますね。いま感じるのはそれだけ考えて続けると上達するもんだな、ということ」

 

SNSやネット検索で描き方を調べて試しては、改善するというやり方を続けるGUSSAN。アナログとデジタルで作品の幅を広げいずれ音楽ライブのフライヤーなどを創ってみたいと、訓練に励んでいます。

 

manaby に通い始めて、生活リズムも安定しています。次の朝に支障がでないよう、健康も時間も管理してコントロール。一度も遅刻したことがありません。30代の今、体の調子もよく、頭がクリアにうまくコミュニケーションがとれるようになったと感じています。

 

「せっかくeラーニングがあるのでもっとパソコンスキルも学びたいし、いずれ一般就労を目指したい。綺麗なオフィスでデスクワークができたら素敵ですね」

 

GUSSANは、支援員や主治医そして家族の応援をうけ、大好きな絵を描き続けながらこつこつと自分にできることを積み上げていました。
(2023年2月取材)

 

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manaby CREATORSの利用者が多様な生き方や感じ方・価値観を、飾らずに発信するWebメディア「novalue」より

※名取市 就労支援事業所 紹介コーナー「ててマルシェ」(ゆりあげ食彩館内)では、manaby CREATORS の利用者がデザインしたポストカード、マグカップ、エコバッグなどが常時販売されています

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